…一体俺は、何をしているのだろう。

半年以上手にしなかった煙草を吸い込んでゆっくりと煙を吐き出した。

屋上のフェンスに寄りかかり空を見上げながら、呆ける。

思わず泣けてしまった自分を情けなく思う。
佐奈の告白を軽く受け流してやれなかった。

『何だ、そうだったのか。俺も同じことを思っていた』と笑って言えなかった。

彼女の驚愕した顔を思い出して気持ちはさらに沈む。

「…はぁ」

ポケットから指輪の入った箱を出し、中身を取り出す。

俺の頭の中では佐奈の指にはまるはずだった小さなリングは太陽の光を浴びて煌めいた。
それをじっと見つめながら再び煙草をふかす。

先日の彼女を失いそうになったときの二週間、一人でゆっくり考えた。
どうせいつかいなくなると思う覚悟があるのならば、気持ちを伝えてしまえばいいのではないかと。

それ以降、タイミングをみて話すつもりでいた。

本物になりたい、と。

なかなか勇気がないままに時間が経ってきてはいたが。

それを言う前にまさか佐奈から本心を聞かされるとは思わなかった。

それも俺の期待した答えとは正反対の。