私たち、政略結婚しています。

「煙草、確か止めたはずよね?また吸うようになったのね。久しぶりに見たわ」

「え、…ああ」

亜由美と付き合っていた頃は確か手放せなかった。
彼女とホテルで過ごした後は、ひっきりなしに火を点けたものだ。

罪悪感からか、もどかしさからか…。常に満たされない何かを抱えていたように思う。

そんな俺が、たった一言言われただけでこれを捨てた。

『臭い。嫌いなのよね、その匂い。近づかないで』

結婚してすぐに、佐奈が言いながら眉をひそめた。

『じゃあ止めたらキスしてもいいよな』

『え!?そんなの、しないわよ。実家のための結婚なんだから。大体あんたみたいなヘビースモーカーが禁煙なんてできないわよ』

『禁煙したら、寝室は同じな』

『え!?やだ』

『嫌じゃない。よし、決まり』







< 65 / 217 >

この作品をシェア

pagetop