「ライト右に上げてください」

克哉の指示に従い撮影スタッフが動き回る。
撮影現場は時間との戦いのせいでピリピリと張り詰めた空気が漂っていた。

私と克哉が所属する企画チームは現場に慣れない構成員の多さから、彼がほとんどの任務をほぼ一人でてきぱきとこなしていた。

撮影班からの監督と難しい顔で話す克哉の様子を、私たちは隅の方から眺めることしかできない。

「凄いですね、伊藤さん。さすが慣れてる」

留美子ちゃんはそんな克哉を見ながらうっとりとため息を吐いている。

「ほんと、伊藤がいなかったら成り立たなかったよな。最終まで残れたのが奇跡だよ」

同期の山野くんも留美子ちゃんの話に乗って口を挟んだ。