どっちかなんて選べない!~ヤンキーくんと王子様~
「…はあ。まったくもう」
頭を上げて、と言われ、恐る恐る上を向く。
「明音に何かがあって輝さんに怒られるのは俺なんだからね。これからはあんまり遅くならないように、なるときは連絡しなさい」
「はいっ!」
輝さんとは私の父である。
母を早くに亡くし、男手一つで私を育ててくれた父は、1年前から海外赴任中。
「ほら、早く着替えてきて。今日の夜ごはんはシチューだから」
『明音を1人にはできない!』と父が大騒ぎした結果、私はコウの家で暮らしている。
―そう。
私と幼なじみのコウは、一緒に暮らしているのだ。