無愛想なCinderella
Ⅳ・名前、覚えました





それから数日、私はパン屋に行くことをためらっていた。


またあいつに会ってしまったらめんどくさい。
その気持ちがパン屋への道をためらわせていた。


………なんてやっていたときだった。






「―――同行、ですか…?」


ある日の午後、私は研究開発部の部長に呼ばれ、営業部員に同行するよう告げられた。



「ぜひ研究開発担当の女性を同行させてほしいという相手方の希望でね。すまないけど頼むよ」


そう言う部長に、私は渋々了解の返事をした。





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