【完】運命は罠と共に
悩みの始まり
彼も仕事に復帰してため、私が夜家にいる日に合わせて田中さんが泊まりにきて、そこから仕事に行くことも増え始めた。


そして、休みが合えば一緒にお出かけもした。


私たちの関係は順調だと思う。





ただ2つほど悩みがある。





田中さんは私のことを「奈々」って呼んでくれる。


けれど私は未だに「田中さん」。


なんとなく呼びづらくて、私から呼ぶこと自体が減ってきている気がする。


本当は「洋輔さん」って、名前で呼びたいのに。


こんなとき素直に行動できない自分に嫌気が差す。




そしてもう1つの悩み。


未だに田中さんの家には行ったことがない。


一人暮らしだとは言っていたけど、それ以外はほとんど知らない。


よくよく考えたら家族のことも知らないし、私って彼女でいいんだよね?とまで考えて、不安に煽られる。


そんな日が時々訪れるようになった。
< 127 / 206 >

この作品をシェア

pagetop