アロマな君に恋をして
6.嫉妬に効くアロマ


「――ふむ。それでそれで?」

「それで、って?」

「泊まってないにしろ家まで送ってもらったんでしょ?最後におやすみのチューとかなかったわけ?」

「……ありませんよそんなの!ただ送ってもらってそれで終わりです!」


なぁんだ、と言って緒方さんが店の小さなツリーのてっぺんに星を飾る。

今日から開店前の時間を使って少しずつクリスマスの飾り付けを始めることになった。

手始めに一番手間のかかるツリーを出してしまおうということになり、二人でお喋りしながら作業している最中だ。


「……でも、悪い子じゃないっていうのはよく分かりました」

「ふうん、今のなずなちゃんにとってはそれだけで収穫かもね。次はいつ会うの?」

「月曜です。私が休みの日の前ならゆっくりできますよねって」

「ゆっくり……なーんか怪しい響き」

「考えすぎです!」


口と一緒に絶えず手も動かしていたから、最後のオーナメントであるリンゴを飾り終え、ツリーは無事に完成した。

巻き付けた色とりどりの電飾のスイッチを入れれば、たちまちクリスマスムードが高まった気がする。


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