お見合いの達人
1の巻 女40にして!
始まりの巻


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「----て、なんで?」


☎『なんでって言われてもねえ、

 奈留ちゃんもう40だからねえ、

 相手の方がちょっとって……』


「じゃあ、前に言ってた、建築士の人は?」


☎『ああ、あの人ね、いいひとだったから、

 半年も前に縁談まとめて、結婚しちゃったがね。』

「え?じゃ、じゃあ、弁護士!バツ一だって言ってたけど、

 顔は悪くなかったしさ、」

☎『そんな前の話、

 とうの昔に結婚したがね、もう3歳の娘がいるって聞いてるよ。

 なあ、奈留ちゃん悪いが、すぐに紹介できる人は今はいないから、

 回り当たってみるさね?

 けど、もう40だからね、ちょっとむずかしいね。

 40じゃね。』


いらっ


「あのねえ、おばちゃん

 そっちじゃどうかしれないけど、

 東京じゃ、40で独身なんてざらなんだよ?」

☎『そうかい?

 まあ。じゃあこっちで探そうと思わないで、

 そっちで探すのがいいんかもね?

 ほら、今、紹介してくれるとこあるんだろ?

 そういうとこにお願いしてみたらいいんじゃないかい?』


いらいら



「わかった。

 ああ、おばちゃん今年のお正月は帰らないからって、

 かあちゃんにそういっといてよ。」


『奈留ちゃんそう言わないで、

  お母さんに顔見せてやればいいのに。』


いらいらいら


「おばちゃんはわかってないよ、

 結婚してない30過ぎた女が正月に実家にいるぐらい、

 肩身が狭いことないんだから。」


『なら、早く結婚したらよかったんじゃないか。

 おばちゃんあんなに紹介したのに断るから。

 奈留ちゃんいいとこ勤めてたし、器量もいいから、

 いい話いっぱいあったのに、

 でも、40じゃねえ……そういう相手はいないんかい?』


いらいらいらいらっ



「だからあの時はいそがしかったからさ、

 ていうか、

 相手いないから、おばちゃんなんかに頼んでるんでしょ?」



『そうかい、そうだね、おばちゃんなんかね、

 悪かったね。』


ガチャンっ


うっ

失言、

あんまりイライラしちゃって本音がっ

絶対おばちゃん怒ったな。

 やば~。あのおばちゃんスピーカーなのに。

 これでもう親戚には縁談の話は振れないな。


 『奈留ちゃんに紹介なんかしたってろくなことにならない』

くらいのこと吹聴して回るに違いないもの。



 
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