Green Magic〜草食系ドクターの恋〜
Magic2 不変と変化

待ち合わせ場所には、たいてい僕が先に着く。

それが普通となっているので、加奈からの「ごめんね」の一言さえもなくなってきている。

別に言って欲しいわけではないが、付き合い始めの頃は、「ごめんね、遅くなって」の一言があったなと思ってしまう。


しかも、その頃は、服装や髪形にも気を遣ってくれて遅くなったのかもしれないなと思うだけで、少し嬉しかったものだ。


「おはよう、タローくん」


「おはよう」


今日は、加奈と映画に行く約束をしていた。

彼女は、僕のことを『タローくん』と呼ぶ。

となりを歩く彼女は、凛としている。

背も僕が175㎝であるのに対し、彼女は167㎝あるので、高いヒールのある靴を履くと、ほとんど目線が変わらなくなる。

髪は、最近は一つに束ねていることが多い。

僕は、彼女の肩くらいまでの真っ黒なストレートの髪を見るのが好きだった。


少し前に「髪おろさないの?」と聞いたが、「暑いもん」と一言で終わらされた。


まあ、別にいいんだけど。





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