コンプレックスさえも愛されて。
ドキドキの初デート




行列のできているお蕎麦屋さんに並んだ。
彬さんはネットで探したんだ、って言いながら、すっげぇ美味そうだったんだよ。待ちきれねぇ、と子供みたいな顔をして笑った。




「飯食う為にこんなに並ぶなんて普段じゃ絶対有り得ねぇよな」

時間に追われて生活している彬さんの言葉が、どんなに重いものかを知るのは私だけだろう。
まだ午前中で、彬さんはここまで運転もしてきたのに、こんなにのんびりした時間は久しぶりだよ、とか言っている。




いつもスーツ姿ばかりだったから、彬さんの私服は凄く新鮮で、本当にカッコイイ。
適度に日焼けしたスポーツマンらしい体躯でカジュアルな服装をしていると、まだまだ大学生でも通りそうなくらい若くも見える。


背が高くて手足の長い彬さんは、どこにいてもとっても目立つ。
通り過ぎる女の子が振り向いたりもするし、恋愛禁止の社内でだって、実はかなりモテるのも知っている。



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