Green Magic〜草食系ドクターの恋〜
Magic3 発見


今朝、いつもより早く目が覚めた。


なぜかそわそわして落ち着かなかった。


いつも見ているニュースも頭に入らず、新聞も読まずに家を出た。



「おはようございます。先生、いつもよりお早いですね」


受付の田村さんに声を掛けられた。


「おはようございます」


田村さんは、原さんのように突っ込んで聞いてこないので、挨拶だけをし、副院長室へと向かった。


何をしても落ち着かなかった。


午前中の診察中も何度も時計とカレンダーに書かれている「熊谷さん13時」という文字と彼女の名刺を見ていた。


「せんせ~、熊谷さんが来られたので、先生のお部屋にお通ししました」


午前中の診察もそろそろ終わろうとしていた頃、原さんは笑いを堪えながら僕に伝えてきた。


きっと、僕が朝からそわそわしているのに気付いているのだろう。


「はい、わかりました」


僕は、外には出さないように気合を入れ、診察を始めた。


最後の患者さんは、定期的に受診をされているので特に変わった様子がなかったので5分程で診察が終わった。


「先生、お疲れ様です」


「お疲れ様です」


僕は席を立ち、部屋に向かった。

父である院長はすでに診察を終えているようでいなかった。

受付はまだ患者さんの対応に追われていた。


「お疲れ様」

と受付の女の子に声を掛けると、

「先生、お弁当が届いていたので休憩室に置いておきました」

と田村さんが教えてくれた。


「ありがとうございます」


うちのクリニックには入院患者がいないので、調理室がない。

だから昼食も自分で用意するか、外食をしなければならない。


今日は近くの弁当屋で、ハンバーグ弁当を注文していた。

< 34 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop