わたし、結婚するんですか?
黒幕は誰ですか?
 




 洸はちゃんと遅れずに来たろうかな、と思いながら、遥久は会社のロビーを歩いていた。

 自分の方が着替えに戻ったので遅いはずだが、洸のことだから、なにかドジをして、出遅れることも充分ありうる。

 あいつよりは、チャトランの方がしっかりしているくらいだからな、と思ったとき、昨日、顔面蒼白で、半裸のまま押入れに正座していた洸を思い出していた。

 エレベーターで、人目があるのに、笑い出しそうになる。

 少し声が出てしまったかもしれない、と思いながら、なんとか堪えたとき、

『課長とこんなことになったと、みんなに知れたら、どうしようと思って』
という洸の言葉を思い出していた。

 知れるかっ、とあのときは思ったが、今みたいな気の緩み具合では自信がなくなる。

 そのとき、こちらを見ている人影があったので、思わず、威嚇すると、章浩だった。

 ……ぼちぼち使えるボンクラ若社長か。

 洸の従兄とは生意気な。
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