粉雪
孤独
―――あの日以来、隼人は変わってしまった。


度々帰りが遅くなり、家でも険しい顔を見せることが多くなっていった。


それでも隼人は、あたしを大切にしてくれたから。




―ガチャ…

「隼人?!」


『…起きてたんだ…?』


「…うん…。
遅かったんだね…。」



疲労の色を滲ませる隼人の顔に、いつも不安になる。



『…ちーちゃん、何も食べてないの?』


キッチンにラップをしておいた食事は、そのままにしていた。


それを見た隼人の顔は、いつも悲しそうで。



「…うん…。
一人で食べても、美味しくないから…。」


『…ごめん…。
でも俺、食ってきたから…。』


「ははっ、だよね?」


精一杯の笑顔を向け、食器に手を掛けた。


こんなことはもぉ、何度目だろう。


その度にあたしは、虚しさばかりに襲われる。



『待って!明日食うから!!
冷蔵庫入れといて?』


あたしの手を止め隼人は、不安そうに顔色を伺ってきた。



「うん!」


それだけの優しさであたしは、きっと自分を保っていられるのだろう。


どんなに遅くなっても、隼人はちゃんとここに帰ってきてくれるから。



『…ごめん、ちーちゃん…。
イッパイ我慢させて、ごめん…。』


「…気にしないでよ…。」



あたしは隼人に抱き締められてるだけで、幸せなんだよ?


あたしの存在は、いつから隼人の足枷になっていたんだろう。


早く気付けていれば、

こんなにお互いを苦しめあうこともなかったかもしれないね。




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