嫌われ者に恋をしました

 (3)真夜中のドライブ


 雪菜の家にはすぐ着いた。近所だからこそ、あのコンビニに逃げ込んだんだろう。今度、改めてお礼に行った方が良さそうだな。

 車を降りて周りを見回したが、近くに瀬川がいるかどうかはわからなかった。時間も時間だし、さすがに帰っただろうか。

「家、一緒に行くよ」

「はい」

「実はさっき、一回勝手に入っちゃったんだ。ごめん」

「い、いえ。かまいません」

「その時は、誰もいなかった」

 雪菜はうつむいた。万が一でも、また瀬川がいたらと思ったら怖いのかもしれない。

 雪菜が先に階段を上がって、隼人はその後について行った。

 ふと目の前の視界に、スラッと伸びた長い脚が飛び込んできた。さっきから脚ばかりが気になって仕方がない。そんな、脚フェチでもあるまいし。きっと、最初のインパクトにやられたんだ。

 雪菜は部屋の前に来ると、少し戸惑った様子を見せた。

「俺が先に入ってみようか?」

 雪菜は黙ってうなずいた。

 隼人が「おじゃまします」と言って入ると、さっきと同様、部屋には誰もいなかった。

「大丈夫だよ」

「……ありがとうございます」
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