副社長には内緒!〜 Secret Love 〜

頼まれたら断れない?

次の朝、誠はゆっくりと目を開けた。

(よく寝たな……。家か?今日は……)
そこまで考えて、ガバッと起きた。

時計を見ると9時32分。

自分の服を確認しすると、昨日のままだった。
ジャケットは、ハンガーにかけられていた。

髪をかき上げると、サイドテーブルのメモに目を落とした。

短いため息をつき起き上がると、玄関に向い、ポストから新聞と鍵を手に取るとリビングに向かった。

新聞と鍵をテーブルに置き、冷蔵庫からミネラルウオーターを出しキャップを捻った。
半分ぐらいを一気に飲むと蓋をしてテーブルの上に置き、バスルームに行き熱いシャワーを頭から浴びた。


頭の中に、昨日の莉乃の姿がリアルに浮かんだ。
その姿を振り払うように、軽く頭を振りシャワーから出た。

誠の住むマンションは35階にある。

タオルで髪を拭きながら、広いリビングの真ん中のソファに座った。
茶色と、白の落ち着くインテリア、眼下に広がる東京の街。

2LDKの間取りだ。
一部屋は寝室。もう一部屋は仕事部屋だ。
元々は家族向けの3LDKの間取りだったが、多く部屋は必要ないと1部屋潰してリビングを広く改装した。
その為、、リビングは広く大きな窓から見える景色が気に入っていた。

誠は携帯を手に取ると確認した。

着信が2件、メッセージが2件。
間宮志保 不在着信
間宮志保 メッセージ
清水弘樹 メッセージ

間宮志保は誠が遊びで付き合っている女だ。
3か月ほど前に、昨日のBARで声をかけられたのがきっかけだった。

【昨日、女とマンションに入っていくのを見た!女は家に入れないって言ったのに!】

(俺の事は遊びだって言ったのはそっちだろ?本命の男がいるって……)

誠はため息をついた。
誠は、自分に本気になりそうな女とは付き合わない。
あくまで、向こうが自分の事を遊びとしか思わない女ばかりにしている。

(どうせ俺に寄って来る女は俺の外見と、肩書目当てだ……真剣になるだけバカをみる……)


女は家に入れない。
誠のポリシーだ。

(昨日は不可抗力だ)

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