センセイの好きなもの
「息子の相手をしてくださいまして、ありがとうございました。ジュースまで買っていただいて…。煌成、ちゃんとお礼言ったの？」


「言ったよ！」


大先生は煌成くんのみならず、私にもジュースを買ってくれた。
大先生はデスクから煌成くんに声をかける。


「ちゃんと言ったよな。なぁ、ツムちゃん」

「はい。とってもお利口さんでしたよ」


短時間でもお母さんと離れるのは不安だっただろうに、私や大先生に心を開いてくれた。
子どもってきっと純粋なんだろうな。

大先生はにこやかにお母さんに言った。


「ご心配なさらずに、私たちを頼ってください。ご相談にいらっしゃるときには彼女がしっかり息子さんのお世話をしますから。倅も、そこにいる吉川先生も仕事はキチンとやります。私もいますから」

「ありがとうございます」


この親子に明るい未来がやってきますように。
私はそう願ってやまなかった。

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