センセイの好きなもの

「いや、泥団子作ってさ。それでその、こうなっちゃってさ」


ハハハ、と笑う大先生。
するとちょうど応接室から巧先生と煌成くんのお母さんが出てきた。
少し泣いたのか、目が赤く潤んでいる。


「おー、ツム。ちょうど良かった…って親父！何でそんなに汚れてんだよ」

「うるさいんだよお前は。やいやい言うな」


大先生はシッシッと手で巧先生を払う。


「大変申し訳ありません。煌成くんの服を汚してしまいまして…」


煌成くんのお母さんに頭を下げようとしたとき、煌成がお母さんに抱きついて嬉しそうにお母さんに言う。


「あのね、つむちゃんと遊んだの！おじちゃんと泥団子作ったんだよ！それでね、ジュースも買ってもらったの」

「泥団子って…」

巧先生は呆れたように大先生を見ていて、大先生はバツが悪そうにそそくさとデスクにつく。