・約束・2
「・・・やり方が姑息だったよな・・・」

雅也がポツリと呟いた。

「男らしくなかったよな。チャンスはあの時の会見でしかなかったにせよ、
目の前で結婚報告して、さっきだって春夏と雅紀を連れて
‘オレの大切な家族’を見せつけて・・・さ」


「ワザと?! ワザとだったの?!」

「さすがに・・・会社の託児所に瀬戸川さんが来る事までは想定してなかったよ」



「当たり前でしょ!!」


「春・・・」


「百合子さんが来るの分かってて、ワザと見せつけて傷つけたんなら・・・
私、雅也のコト許せない・・・」


何だか無性に腹が立ってきた。私が百合子さんの立場だったら・・・と
考えたら、雅也のさっきの言葉は耐えられない。

‘オレの大切な家族’


・・・きっと百合子さんは、あの頃の自分の行動を後悔したはずだ。
あの時、雅也と結婚していたら・・・今、隣りにいるのは・・・
雅也の大切な家族になっていたのは・・・

百合子さんと産まれてくる子供だったはずだ・・・と。


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