無理矢理繋いだ赤い糸


その噂の的にチラッと視線を向けると、周りに女の子を纏わり付かせながらチラッとこっちを見る。
目が合ってしまってバツが悪くて、わざと素知らぬ顔をして視線を逸らした。





確かに、高校の頃から大人びていてモテていた柊悠也。
あれから九年、細身のスーツ姿は様になっていて、以前より少し長い髪は、男のくせに色香を放っているようにも見える。



私は断じて、あんな男、好きじゃなかった。
モテるのをいい事に好き勝手して女の子を泣かせて、それなのに誰もあの男を悪く言わないのが許せなかったし。
成績だって、私が幾ら努力しても、ノートすらまともに取っていないあの男に、三年間一度たりとも勝てなかったのだから。



「悔しい、って言いながら意識してたもんね、沙希は」
「だから、違うってば!」
「いいじゃない、昔の話なんだし」

そんな言葉を繰り返していると、なにムキになって言い合いしてんだよ、俺らも混ぜて?と、二人の男の子が近付いてきた。


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