海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
認めたくない事実だけれど、相葉先生がこの学校に赴任して以来、一気に女子生徒内での人気が上がっていた。


穏やかな声のトーンも、優しい笑顔も、頭を撫でる、温かい手も…

好かれる要素は十分だった。


そんな男性と接していて、嬉しくない女の子なんていないと思う。


それに、先生の行動はいやらしさを感じなかった。


相葉先生は頑張っている生徒の姿をちゃんと見て、褒めてくれているだけ。


頭をポンポンッとするのは、そういう事なんだと私は思っている。


それがみんなに平等にされる事だったからこそ、


『誰にも負けたくない』


私はそう思ったんだ。



この手の温もりも、優しい笑顔も、全部独り占めしたい。


その為には、頑張り続けなくちゃいけない。


『そうまで思うのはどうしてだろう。』


その疑問の答えは、とっくに出ていた。


私自身がよく分かっていた。


ただ単に、教科が好きっていう訳じゃない事。


自分の気持ちをごまかす事が出来ない位、

相葉先生の事が好きになっているという事。


先生としてだけじゃなくて、一人の男性として好きになっている事…。


もっともっと相葉先生の事を知りたいと思ったし、

もっともっと私の事も知って欲しい。


密かに、そんな熱い想いを胸の中に抱えていた。


私は2年生に入ってから1ヶ月も経たない内に、

ずっと求めていた“恋”を見つけていた。
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