Devil's Night
 
 そのとき、私の気配に気づいたようにカイが振り返った。と同時に、彼の腕から灰色の猫が飛び降りる。


――ブルー……!


 私はあわてて扉の影に身を潜めた。


――まさか、カイは猫としゃべってたの?


 見てはいけないものを見てしまったような気がした。恐ろしくて、そこから動けない。早くこの場を離れたいのに、足が凍りついたみたいに動かなかった。


 不意に目の前の扉がユラリと揺れ、その隙間からブルーの顔がのぞいている。


「ニャア」


 あっ、と声を上げそうになって、私は両手で自分の口をふさいだ。
 猫はその蒼い瞳で私を一瞥すると、ゆっくりと頭を引っこめた。室内でカイが動く気配はない。


――ここにいてはいけない。


 そう直感した私は急いで階段を降り、ゴーストアパートを離れた。


< 26 / 359 >

この作品をシェア

pagetop