Magic Academy ~禁書に愛された少女~
そらは冷蔵庫の中をまた覗くと、小さく唸った。

「…飲み物、もうちょっとでなくなっちゃう」

そう呟くと、ミルクを元にもどして、冷蔵庫をパタンと閉じた。
そらは、シークを身につけたまま、ベランダへと出た。

「今日は少し、風が強いね」

風に吹かれて、髪がふわふわと揺れる。そらは、片手で髪を押さえた。シークもチャリっと音を立てて揺れる。

「そうだな」

シークの声の感じが、いつもの感じに戻っていた。そらはふっと微笑むと、空をじっと見つめた。あたり一面に広がる星に吸い込まれそうな感覚に陥る。

「きれー…」

ほぅっと感嘆の声を漏らすと、そのまま置いてあった椅子に座ると、ひじを突いてしばらくボーっとあたりを眺めていた。

「知っているか?この世界は…」

シークが何かを語りだしたようだったが、そらにとっては心地の良い子守唄に聞こえた。うつらうつらと、少しずつ、眠気がそらを襲う。


「…おい、そら?」

しばらくして、すーっという寝息のようなものが聞こえてきたので、シークがそらに声をかけた。が、そらからの返事はない。はぁ、と、ため息をつくと、シークは何も言わず、ちりんと揺れた。
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