未来のない優しさ
俺の腕の中で眠る柚を見つめながら…。

『幸せにはできない』

そう言われた言葉を思い出す。
笑ってるつもりだったのかもしれないけど、悲しく強張った表情に、何の説得力もない。

幸せなら…今もそうだ。

俺の手の届く所にいる。

柚と呼べば笑ってくれる。

それだけで幸せ。

…罪悪感からくる愛情ではないかと…見極められず無駄な時間を過ごしたけれど。

昔の柚も含めて…つらい時間を過ごして出来上がった今の柚。

今こうして俺の目の前に現れた柚を…本当に愛してるとわかる。

転勤が決まって、俺の近くからいなくなると決まって気づくなんてな…。

もう、離さない。

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