シュークリーム
夢現な私の体が、柔らかい場所にあることに気付いた。


瞼を少しだけ開けてみたけれど、ぼんやりとしたままの視界はなかなか定まらない。


体に触れる感覚からなんとなくベッドの上にいるような気がして、ゆっくりと視線を動かす。


ふと、顔の傍にあった手が握られているのが見えて……。


「村上君……?」


頭で考えるよりも先に、そう訊いていた。


だけど、しばらく経っても返事はない。


まだ夢現なままの私は、握られた手をぼんやりと見つめながら、これは夢なんだと判断した。


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