シュークリーム
幸せな夢に、思わず笑みが零れる。


「幸せ……」


微笑みながら呟いた私は、そっと手を握り返した。


骨ばった感触に、胸がドキドキと高鳴る。


「ひとりに……しないで……」


夢の中だと思うと、素直な気持ちが自然と零れてしまう。


「行かないで……」


例え夢だとしても、幸せで嬉しいシチュエーションなのに……。


心が切なさを抱いて、喉の奥からは熱が込み上げて来る。


火照った頬に流れる涙の冷たさを感じながら、再びゆっくりと瞼を閉じた。


< 73 / 131 >

この作品をシェア

pagetop