LOVELY☆ドロップ

彼はそう言うと、ふんわりと笑う。

その笑顔はすべてを包み込むような、そんなあたたかみのあるものだった。


その表情を見ただけで、この男の人がどれだけ奥さんを愛していたのかということがわかる。


「……そうですか」

気がつけば、あたしも笑って答えていた。




なんだろう。

もう笑えないと思ったのに、この人たちといるだけで、あたし……笑えてる。




変なの。

この人とははじめて会ったのに……。

数時間前は赤の他人だったこの人たちと笑うことが当たり前のような気がしてくるから不思議だ。


男の人につられてあたしも笑みを浮かべていると、降って湧いたように、とある疑問が浮上した。

その疑問っていうのは、いったい誰があたしの服を着替えさせてくれたのかっていうものだ。


だってね、突然降ってきた大雨のおかげであたしはびしょ濡れだった。

そして、その雨のせいで田舎育ちなおかげで体が丈夫ということだけが取り柄なあたしは熱を出した。

それに加えて、慶介との一件で精神もズタボロになって意識を失った。


それでもって、この人には奥さんがいない。

ここには男の人と女の子のほかに人は居なさそうだし……。



ということはつまり……。


あたしはこの人に着替えさせてもらったってことになる。



それって、それってそれって、あたしの裸を赤の他人のこの人に見られたってことですか!?


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