プライマリーキス 番外編&溺愛シリーズ
「マーキングですよね、いわゆる。でも、おしっこは、ほら、ちゃんと」
と、フォローするものの、
「しつけが必要みたいだ。この子も、君も」
と、返ってくる。
そんなイジワルなセリフは聞かなかったことにして、まずは片付けをしないと。
「置いたまま、連れて行かれたんだし、潤哉さんだって責任はひとつくらいあるんですよー。ね?」
ウィルに同意を得ようと声をかけると、ニャーと一声。得意げに潤哉さんを見ていたら罰が当たったのか細かいガラスが指に突き刺さった。
「いたっ」
「素手で触るもんじゃないだろ。貸してごらん」
すぐに潤哉さんはウィルを解放して、私の方へやってきた。
指を持ち上げて鮮やかに滴る血を抑え、ガラスを確認する。
「中には入ってない。切れただけだね」
ホッとしたように彼は言い、悪戯な瞳で挑発してきた。
「それで、なんだって?」
「なんでもないです」
ドキッとしてはぐらかすと、彼は指をぱくりと食べるように含んでちゅっと吸いあげた。
「あっ」
ただ吸うだけじゃなくて舌で舐めるようにするから心地が悪くて、つい潤んでしまうと、彼は勝ち誇ったように笑みを作った。
「こういうことでさえ感じる君にも、しつけが必要ってこと」