プライマリーキス 番外編&溺愛シリーズ

「イジワル」
「しょうがない。一緒に片づけようか」
 ウィルはというと構いもせずにソファでうとうと。

「あーやって寝ていてくれる間はいいんだけどね」

 二人で顔を見合わせて苦笑い。
 一つ忘れたことを思い出して、私は潤哉さんの頬にキスをした。
 面喰ったような顔をする彼に笑ってしまう。

「いつもしてることなのに」
「不意打ちは困るんだよ。さっきみたいなのも」
 ほんのり照れたように言って、彼は私を抱きしめた。

「……潤哉さん?」
「いつでも言ってくれていい」
「え?」
「僕が欲しくなったら」

 唇にキスを一つ受けて、私は彼を見つめ返した。
 なんとなく照れて赤くなっていくのは、今度こっちの方。

「また、そんなこと言って」
「誘惑するのは君だけど……お預けするのは僕の方」
「じゃあ、やっぱりダメじゃないですか」
「最終的に、欲しいものを……聞きたいだけ。君のこの唇から」

 甘い吐息がかかる。
 見つめ合う度、とろけそうな夢心地は続いていて。
 潤哉さんに触れると、片付けがどうのとか考えるのが疎かになってしまう。

 彼には知られているんだろうか。きっとそうだろう。
 私が欲しいと思う瞬間も、恥らってしまうことも。


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