月夜の翡翠と貴方


「……今だって、別にフード被っても構わないんだぞ?」


思わず、口をぽかんと開けてしまう。

どうしてこの男は、こんなにも……


私は下を向き、ゆっくり首を横に振った。

「……大丈夫。心配、ありがとう」

「………そ?んじゃ、行くか」


…掴まれる手。

繋がる両手。

村の景色も、その雑踏に紛れて歩く、この心地も。


…全てが、新鮮だった。






その後少しだけお金をもらい、ルトを店の外に待たせて、私は下着を買った。

それから、これからルトと旅をするにあたって、必要なものを買った。

費用の面を気にしたが、ルトは笑って心配いらない、と言った。


何故、とは訊かなかった。

私は、訊ける立場にない。

彼が友人として、と言っても、私達は所詮赤の他人だった。


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