ライラックをあなたに…


翌週の月曜日。


一颯くんを起こさないように出勤準備をする。

いつもより1時間近く早めに……。



自宅マンションから近いという事は、あの人も同じ路線を利用し出勤する。

通勤ラッシュの時間帯という事もあり、もしかしたら見かける事すらないのかもしれないが、それでも可能性がゼロでない限り、鉢合わせしないとは言い切れない。




一昨日の土曜日に一颯くんと買い物に出掛けた。


年下だし、学生だし、家主な訳だし……。

彼に甘えるだなんて以ての外なのに、彼は食器類と日用品を一通り買ってくれた。


ますます頭が上がらなくなる。

けれど、恩着せがましい態度を取る訳でもなく、勿論、見返りを要求する訳でもなく。


そんな私に提示されたのは、家事の分担制とあの2つの約束事。


月水金は一颯くん、火木土は私が食事担当。

日曜日は外出予定が無い限り、2人で作る事になった。


一昨日の土曜日は私がハンバーグを作り、昨日の日曜日は2人でお好み焼きを作ったりした。



あの人は料理を一切しない人だったから、2人で何かを作る事がとても新鮮に感じて凄く楽しかった。



< 147 / 332 >

この作品をシェア

pagetop