スイート・プロポーズ
重なる...

窓の外は、止む気配のない雨が降り続き、空は雨雲で覆われていた。

6月に入り、今は梅雨の真っ只中。

湿気に悩む女子社員の声をボンヤリと聞きながら、円花は窓の外を見つめていた。

今はお昼休みで、いつもなら美琴と馴染みの店でランチを食べているのだが、梅雨時期に外へ出るのは億劫だ。

かといって、混み合う社食に足を運ぶ気にはなれない。

必然的に、買ってきたものやお弁当でお腹を満たすことになる。


「円花」


名前を呼ばれ振り返れば、美琴が手招きをしていた。

総務部にお邪魔し、円花は椅子を借りる。


「CM、もうすぐ放送なんでしょ?」

「うん。夏も近いね」


食事をしながら、円花は総務部を眺める。

他部署は新鮮で、やっぱり広報部とは雰囲気も違う。


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