東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
「私の意思を継ぎ、軍人としての職務を全うするのも良いが…御堂家の嫡子としての役目も果たして欲しいのだ」




「…俺は結婚はしないと…何度も…御堂家は次男の清文に継がせればよろしいでしょ?」



「…私は清文よりもお前に…継いで欲しいのだ…」


父は一度…口に出した言葉は必ず…どんな手段を使ってでも、有言実行してしまう男。



「…世間に蔓延る噂を一掃する為にも…この結婚は不可欠だ」



1年前…何者かに中尊寺財務大臣は襲われ、重傷を負った。

その首謀者は俺の父親だと言う噂が東京中に流れた。


父が退役後…国の軍縮傾向で急速に衰えた軍務の力。

街には職を失った軍人が溢れた。かって国を護っていた元軍人が東京の街の治安を乱した。



その罪を罰するように、7年前…未曽有の大地震が東京を襲った。


今も至る場所に地震の爪痕を残すが…復興しつつあった。




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