東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
「…本当に噂ですか?」


「私の一番…信頼を寄せる貴様にそのような事を言われるのは心外だな…」


俺自身は噂を信じたくないが、周囲に噂を真実にする材料が余りにも多くて…疑心暗鬼が生じていた。




「信じたくはありませんが…」



「…くだらない思想が街には蔓延り、この国の愛国心が失われつつある。私はこの国のあるべき姿を正したいのだ…」



「・・・」



「貴様も軍人だろ?」



俺は軍人にはなりたくなかったが、周囲の期待と御堂家の血に逆らえなかった。





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