鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ
「おいっ!これやったのあんただろ?」


今日はいつもより仕事が捗るなと思いながらパソコンを打ち込んでいると一人の男性がカツカツと靴音を大きく鳴らしながらあたしの所にやってきて、机を叩き大声を上げた。



顔を見上げるも知らない顔。ぶら下げているカードの紐の色を見ると黄色ということは営業部。課によって紐の色が違う。経理課の紐は緑。
営業の人に知り合いはいないはずなのになと机に叩きつけられた紙に目をやると見慣れない紙。



「あの、これ、私じゃありません」



「はあ?あんたに決まってんだろ。経理課で仕事できないって有名なんだから」



失礼な言葉に思わず睨みつけてしまう。やっぱり顔を見ても知らない顔。グレーのスーツに紺のネクタイ。ちょっとつり目で乱暴。


「ちょっとあんた、営業か何か知らないけれど勝手に決めつけないで!美晴ちゃんがやったという証拠でもあるの?」


「だっていつも怒号が響き渡ってるし、この間の桁違いのミスだってこいつだっただろ?桁間違えるとか給料泥棒だよな」
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