おかしな二人


七時になると、水上さんの携帯が鳴った。

「もしもし。はい、今行きます」

携帯を切ると、ご馳走様。と言って玄関へ向かう。

さっきの電話は、お迎えのコールか?

マネージャーさんでも迎えに来ているのだろうか。
ちょっと、そういうの見てみたい気もするが、ここは十五階。
窓から覗いたくらいじゃ、よく見えないだろう。
かといって一緒についていくわけにも行かず、今日も結局、玄関先で行ってらっしゃい。と見送るに留まる。

家事手伝いなんだから、そんなもんよね。

なんとなくつまらない、なんて思いながらも自分の立場を思えば、当たり前のことなんだ、と言い聞かせた。


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