蜜恋ア・ラ・モード
第一章

  始まるとき  





それはまだ、私が小学生だった頃。



お昼の情報番組で、当時大人気だったアイドルが料理学校の先生に料理を教わっていた。



『美奈子ちゃん。料理ってね、心を込めて作ればそれが隠し味となって、何倍にも美味しくしてくれるのよ』



五十を過ぎた女性の先生だったろうか……。優しそうな目で語る先生の言葉に、そのアイドルは言ってる意味がわからないのかポカンとした顔をしていた。



でも私にはわかったんだ。幼いながらもそれが、 



“ 愛情 ” 



だということを───


< 1 / 166 >

この作品をシェア

pagetop