恋のはじまりは曖昧で
社員旅行で

七月に入り、早く梅雨が終わってほしいと思う今日この頃。

忙しい月末の請求処理も無事に終えた。
一度、請求書のミスをしてしまってから、かなり気を引き締め仕事に取り組んでいる。
社会人として、二度と同じ失敗は繰り返す訳にはいかない。

今日は支払い処理をしている。
仕入れ先から届いた請求書と納品書を照らし合わせ、間違いがないか確認する。
それが済んだら、支払明細書に漏れなく記入して届いた請求書と一緒に営業担当や部長に回し印鑑を押してもらったあと経理へ持って行く。

自分でやれることは今まで通りやって、どうしても忙しくて助けて欲しい時には素直に頼むようにしている。
でも、人に頼み慣れていないし、図々しいかな?とか、いいのかな?という思いがあるのでなかなか自分からは言えず。
情けないことに、西野さんとか他の事務の人が声をかけてくれて「お願いします」というパターンが多い。

早く、頼らなくてもちゃんと仕事出来る人になりたい。
それが今の目標だ。

「明日はいよいよ社員旅行だな」

浅村くんが楽しそうに先日配布された“旅のしおり”をペラペラ捲りながら独り言のように呟く。

うちの会社は五年に一度のペースで社員旅行に行っている。

社員同士の親睦を深めるための行事。
絶対的な理由がない限りは全員参加になっている。
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