恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
ちなみに花澄は夏の別荘ということで、風通しの良いコットン素材のリゾートワンピを身に着けてきた。
紺地に花を散らしたその柄は少し大人っぽいが、月杜家の別荘に呼ばれる人々は比較的年齢層が高いので、浮くことはないだろう。
パーティは明日の昼過ぎから夜にかけて行われる予定で、その時には花澄もきちんと盛装する必要がある。
「雪くん、美鈴はもう来てるの?」
「いや。朝、連絡があってね。到着は明日の昼過ぎになるらしい」
「そうなんだ……忙しいのかな?」
「この時期だと浴衣が飛ぶように出るからね。……さ、まずは少し休んで。長旅で疲れただろ? 環も来なよ」
雪也はにこりと笑い、玄関の方を指差す。
二人は雪也に案内されるまま、別荘の玄関へと向かった。