スーツを着た悪魔【完結】
まゆの自宅の最寄駅に到着した二人は、改札を出て歩きはじめる。
時間はすでに深夜間近で、人通りはほとんどない。
外灯がぽつぽつとあるだけだ。
送ってもらうなんてどうかと思ったけど、よかった……。
ホッとしながらしばらく歩いていると、以前待ち合わせをしたコンビニが遠くに見えてきた。
深青と別れる時間だ。
そう思うと胸がちくりと痛くなる。
けれどその痛みから目を逸らし、まゆは隣の深青を見上げた。
「私、コンビニに寄って帰るから、あそこで……」
少し名残惜しい気持ちはあるけれど、これ以上甘えるわけにはいかない。
まゆとしてはごく当然の発言だったのだが
「ばか。ちゃんと部屋まで送らなきゃ意味ないだろ!」
まゆが心配で仕方ない深青は、信じられない、といった風に顔色を変える。