ラビリンスの回廊
運命
ぽたん、と頬にかかる水滴によって、玲奈は目を覚ました。
「──っつー……」
同時にピリッと頭痛がはしり、玲奈は一瞬目を閉じ、ギュッと親指でこめかみを押さえた。
そして、頭痛の原因を思い出す。
「あー……」
そうだ、目の前に『男』がいて……
そっと開けた玲奈の目には、今はどんより曇った空が映っていた。
「また、か」
また極度の男嫌いが発動し、気絶して倒れてしまった、と深いため息を吐き出す。
そうしながらやっと、むくりと上半身を起こした。
「……?」
玲奈は、やっと自分の目が信じられない光景を映していることに気付いた。
──空?
確か自分は、地下駐車場にいたはず。
そう思い、そろそろと辺りをうかがう。
「え!?」
驚愕に目を見開き、左右を見回し、目をこすって更にもう一度見回して、それが目の錯覚でないことを知る。
目に飛び込んで来たのは、濁り水のような色をした空と。
降りだしたばかりらしい雨。
そして、巨大な建物を崩したことを彷彿とさせる大量のレンガ石。
「……ドコ?」
全く見覚えのない景色に、玲奈は眉をひそめた。