依存~愛しいキミの手~

カラオケ

「あ、来た!」


部屋へ入ると美香がマイクを持ち、優によりかかって膝をかかえて座っていた。優は美香の肩に手を回している。


「…何で2人して顔赤いの?…!?まさか!?」


美香が立ち上がり目をまん丸くして言った。


「「ち、ちがっ…」」


声がハモって思わず顔を見合わせた。


先に視線をそらしたのは圭介だった。


やっぱり圭介顔赤かった…。


「あ~や~し~い~」


美香がマイクを通して言う。


「ばっ、ま、まじで何もしてねーよ!!」


圭介が自分の頭をぐしゃぐしゃっとし、ソファーにドカッと座った。


私も下を向きながらソファーに座りタバコの火をつけた。


初めて見る圭介の赤い顔と焦ってる態度に期待が高まって、口元が緩みそうになる。


「ふ~ん…じゃあこの曲うーたおっと」


美香がリモコンを手に取り、にやけながら曲を入れた。


前奏が流れだす。


あっ…!?


ELTのshaps of love…。


「お前なぁ…」


そう苦笑いしながら、おでこと目を手で覆う圭介。


サビの所でニヤニヤしながら圭介と私を見る美香。


ちょっ、トイレで言ってたことは何だったのさ!!


私も圭介同様苦笑いするしかなかった。


美香が歌い終わると圭介が美香の頭を小突いた。


「ごめんー、圭介からかうの面白いんだもん(笑)」


笑いながらペロッと舌を出して、愛嬌ある笑顔を浮かべた。
< 106 / 441 >

この作品をシェア

pagetop