淡い初恋

まさかの両思い

私たちのグループが発表した「織姫のベガ星と、彦星のアルタイル星」は周りから大絶賛を受けた。特に千堂くんの解説が面白くて「1光年っておよそ9.46×1015メートル(約9.46ペタメートル)あって正確に言うと9460730472580800mあります。1光年でこんな離れてるんだから15光年も離れてるんだったらさすがに俺が彦星だったら諦める。」と言うとみんなが笑った。先生も褒めてくれたけど「これは、地学じゃなくて物理だな。」と最終的には苦笑いを浮かべていた。

放課後、私は図書室に入ると何を読もうか本を物色していた。「あ!これだったら!」と言い、手にしたのは「美女と野獣」。このストーリーはディズニーの中で一番好きだったので本を手にすると私は空いてる席に座った。次第に本のストーリーにのめり込んでるといきなり。「何、読んでるの?」と聞かれ、誰かが隣に腰掛けた気がした。

え?私に話かけてきたのかな?と思い、無理やりストーリーの中から現実に引き戻されると私は仕方なく顔を上げて隣を見た。すると目の前には千堂くんが座ってたため、思わず驚愕した。

な、なななんで千堂くんがここに!?彼も本を読むのかな!?と、とりあえず質問に応えないとと思い、私は声を振り絞りながら「あ、あの、ディズニー系を。」と応えた。

すると「へぇ、好きなんだ。」と首をかしげながら聞いてきた。私は彼と向き合って話すのに耐え切れず俯きながら「うん。」と応えた。

な、な、な、んなんだろう。なんかすごい熱い視線を感じる。千堂くんは私の顔を覗き込むように「高梨さんって好きな人とかいるの?」と聞いてきた。

「え!?」い、いきなり何を言い出すの!?思わず動揺して体温が上昇し、変な汗をかきそうになった。今、絶対顔真っ赤だよ、恥ずかしい。あ~どうしよう。と目を泳がせていると「へぇ、誰?」と不敵に笑って聞かれた。

「え?いや、あの、まぁ、あこがれと言うか。見てるだけで満足で。」となんとかしどろもどろになりながらも応えた。



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