さよなら御伽話(メルヘン)またきて現実(リアル)【完】
自分で言ってて虚しくなるくらい、凡人か下手をすればそれ以下で。
強いて言っても、あの行き過ぎたネガティブが化けたようなポジティブ思考しか長所がないし。
とはいえ、これは胸を張って自慢できるほど特徴的なものでもなくて。

和泉川先輩みたいに顔とか頭が良いわけでもなく、運動神経だってあのザマで、特別何かの才能に恵まれているわけじゃない。
例えるなら、私はアクションゲームの最初のステージに出てくる雑魚キャラのような存在というのがしっくりくるだろう。


「だけどそんなダメダメな私でも、誰かを変えることができるんだなぁって分かって、なんだか嬉しくなっちゃって」


ありのままの気持ちを述べたら、クスクスと和泉川先輩の控えめな笑い声が耳をくすぐった。


「ほんと、面白い奴だよな」
「それ褒め言葉ですよね」
「さあ?どうだろうな」
「褒め言葉ってことにしておきます」
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