さよなら御伽話(メルヘン)またきて現実(リアル)【完】
――ああ、これはあの夢か。
夢の中の私が覚醒した時、真っ先にそう確信した。

前よりも視界がクリアで、幼い私がいるのは子供部屋だということが分かる。
置いている物は全然違うけど、ドアや窓の位置からするに、ここは現在愛加の部屋になっている一室だろう。
昔は共有の遊び場としてこの部屋を使ってたんだっけ。
そして現在私のメルヘンルームと化している一室は、当時二段ベッドを置いて二人の寝室にしてたんだよね。

私が小学校高学年になった辺りで、部屋を別々にすることになったんだけど、それまでは学習机を隣に並べて仲良く勉強してたもんだなぁ。
私が愛加から算数を教わるという、異様な事態が発生していたのも懐かしい。

というかこの夢の舞台は私の家だったのか。
私が遊んでいるのだから、なんら不自然なことではないけど。
そこで私は視線をある一点に置く。


「……それじゃあ、あなたは一体誰なの?」
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