さよなら御伽話(メルヘン)またきて現実(リアル)【完】
「寂しいなら会ってやらないこともないけど」
「別に寂しくなんかないです」
「強がらなくてもいいって」
「そっちこそ。寧ろ会いたいのは和泉川先輩の方なんじゃないですか?」
からかうように訊ねてみたら、
「……そうなのかもな」
間を置いてから和泉川先輩が呟くように言ったものだから、不覚にもドキリとさせられてしまった。
なんだよそれ。
そんな反応されたら、なんか調子狂うじゃんか。
「和泉川先輩忙しいでしょう。一応受験生なんですし」
「一応じゃなくてそうなんだよ」
「とにかく!冬休みは学業に専念してくださいよ。どうせあっという間に終わっちゃうんですから」
「それもそうだな」
小さく笑いを零した和泉川先輩の横顔はどこか切なそうで、なんだか心が揺らいでしまう。
だけど私が今求めてるのは、そういう物理的距離じゃないから。
冬休みのうちにちゃんと気持ちの整理ができたらなって考えてる。
生憎、子供の頃のような純粋な心を忘れてしまった私のもとにサンタクロースがやってくることはないけれど。
いつか運命の王子様が迎えに来てくれることを信じて、私は煌びやかな光景を目に焼き付けていた。
「別に寂しくなんかないです」
「強がらなくてもいいって」
「そっちこそ。寧ろ会いたいのは和泉川先輩の方なんじゃないですか?」
からかうように訊ねてみたら、
「……そうなのかもな」
間を置いてから和泉川先輩が呟くように言ったものだから、不覚にもドキリとさせられてしまった。
なんだよそれ。
そんな反応されたら、なんか調子狂うじゃんか。
「和泉川先輩忙しいでしょう。一応受験生なんですし」
「一応じゃなくてそうなんだよ」
「とにかく!冬休みは学業に専念してくださいよ。どうせあっという間に終わっちゃうんですから」
「それもそうだな」
小さく笑いを零した和泉川先輩の横顔はどこか切なそうで、なんだか心が揺らいでしまう。
だけど私が今求めてるのは、そういう物理的距離じゃないから。
冬休みのうちにちゃんと気持ちの整理ができたらなって考えてる。
生憎、子供の頃のような純粋な心を忘れてしまった私のもとにサンタクロースがやってくることはないけれど。
いつか運命の王子様が迎えに来てくれることを信じて、私は煌びやかな光景を目に焼き付けていた。