さよなら御伽話(メルヘン)またきて現実(リアル)【完】
未だに廊下で「チュロス売りの少女だ」だの「パンモロの子」だの指をさされることはあるけども、実害はないのでスルーしている。
からかわれるくらいなら可愛いもので、こんなのは芸人が愛ゆえにいじられている感覚だと思えば、可愛がってもらえているとも十分捉えられる。

だってもし本物のアンチがいたら、もっと陰湿な嫌がらせをしてくるだろうし。
そう、例えばこの新聞の端の方に写っている、私の顔を黒く塗り潰して、脅迫状と一緒に送りつけてくるとか。
そういうのに比べたら、廊下で指をさされながら笑いものにされるくらい屁でもない。
そんなポジティブ思考を働かせていた私だけど、


「うそぉ……」


下駄箱のなかに入っていた手紙を読んで、引き攣った顔が戻らなくなった。
まさしく私が危惧していた通りの現象が起きてしまったからだ。
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