さよなら御伽話(メルヘン)またきて現実(リアル)【完】
両親に強制させられてきた学業の他に唯一夢中になれるもの、それが小学校の頃から続けてきたバスケットボールだった。
高校に入学した俺は、勉学を怠らない条件と引き換えに、親から入部の許可が降りたバスケ部で、練習に励む日々を送っていた。
ただ、そこには思わぬ出会い、もとい罠が待っていたんだ。


「おつかれさま。あっくん今日もかっこよかったよ~」


バスケ部のマネージャーを努めていた二つ上の永峰先輩。
入部したての一年にも優しくタオルやドリンクを差し出してくる姿に、俺はいとも簡単に心を奪われた。
親しげにあだ名で呼んでくるところも、恋愛経験のない俺を落とすには十分すぎる要素だった。

先輩に話しかけられる度に嬉しさが込み上げてきて、授業中も先輩のことを考えることが増えて、気が付けば先輩の姿を目で追っていて、ついには勉強をそっちのけて四六時中先輩のことで頭がいっぱいの日もあったくらいだ。
こんな想いを抱くのは初めてだったから、らしくもなく困惑してしまった俺は、割と付き合いの長い佐久間弟に相談を持ちかけてみることにした。
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