結婚に愛はあるのか?
「見ず知らずの私なんかじゃやっぱりダメかしら?」

優しい笑みを浮かべた受付嬢はそう言って小首をかしげた。


「・・・そんな事ありません、…お家賃はどれくらいですか?」

他を探しても、きっと思うような物件は見つからないだろう。

私は迷うことなく、受付嬢にそう言った。


「あ、申し遅れました。

私遠藤沙織って言います。歳は23歳。短大卒、就職2年目」

そう言って笑った沙織。


「あ、私、鈴木愛って言います…ぁ、名前は知ってますよね。

S物産に事務で勤務してます・・・歳は19歳…もうすぐ20歳になります」


「エ、まだ19歳だったの?全然見えない。私より年上かと思っちゃったよ。

凄く綺麗で、おしとやかな人だから」


「そんな事無いですよ」

2人で見つめ合って、クスクスと笑い合った。


「お家賃はいらないわ」

「え、そんな」

沙織の言葉に驚き目を見開く。


「その代わりと言っちゃなんだけど、愛ちゃんて、料理とかできる人?」

「えぇ。一通りの事は出来ますけど」

「やった!」

私の言葉にそう言って、周りの社員達から、白い目で見られる。

沙織は、笑ってごまかした。
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