another day -あなたから愛される日-
真冬の雨

―莉奈side―




「あ、雨、降ってきちゃったね。」


「こんな寒いのに雪じゃないんだ。」


隣で同じように外を見る渚が笑った。


「莉奈。」


デスクに座って仕事に励んでいると藤井先輩から呼ばれた。


「はい。」


「ちょっと。」


手招きをされ人気のない廊下に連れて行かれた。


「…どうしたんですか?」


不思議で首をかしげると先輩は手にしていたスマホを差し出してきた。


「え?」


「変わってほしいって言われて。私はデスクに戻ってるからあとでそれ、持ってきてくれる?」


「え…変わってほしいって…、誰ですか?」


「出れば、わかるから。」


藤井先輩はそう言い残して足早に廊下を去って行った。


いろんな不安を抱きながらスマホを耳にあてた私。


「もしもし…。」


小さな声でそう言った。


『莉奈?』


その声を聞いた瞬間、スマホを耳から離そうと思ったけどできなかった。


『切るな。』


その声があまりにも切なかったから。



 
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