スイートホーム
麻美は言い辛いであろう事をきっぱりと言いきった。


「社会人になってからも色々やらかしてるだろうし、梨華にはもうあんた以外に女友達なんかほとんどいないだろうからね。あんたも、完全に関係を断ち切っておかなくちゃダメだったんだってば。だから今こんな最悪な事態に…」


そこまで言って麻美は、ハッとしたような表情になり、言葉を止めた。


「…ゴメン」


私が見るからに意気消沈していたからだろう。


「弱ってるあんたに追い打ちをかけるような事を言っちゃって…。悪いのはあくまでも梨華だもんね」


「…ううん」


私は小さく首を振りつつ返答した。


「麻美が謝ることないよ。貴重な休日にわざわざこうして会いに来てくれて、ホント感謝してる」


「そんな事はどうでも良いのよ」


穏やかにそう返したあと、麻美は再び厳しい口調で物申した。


「でも、これで身に染みて分かったでしょ？今度こそ、あの子とは縁を切りなさいよ」


「うん…」


「変な情けをかけたりしちゃダメだからね？」


「分かってる」


こんな目にあってまで梨華との友情を継続しようとは思わない。


４年も交際していた…。


結婚も視野に入れてお付き合いしていた彼氏を奪われて、それを許せるほど私はお人好しじゃない。


私にもいよいよ決断の時が訪れたという訳だ。


これを機に、金輪際、梨華とは関わりを持たないようにしよう。
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